『創る意味』

宮原 雅人

APPLE TREE  


エディトリアル・ディレクター 宮原 雅人

 物事を知って味わい、そして飽きる。日常の多くはそれの連続である。そういう人生の常道に満足できれば、それはそれで無難であろう。しかし、そういう道を選ばない人たちもいる。自分を感動させてくれるものが待っていても訪れないのなら、その感動は自分で創るしかない。それは楽曲であるかもしれないし、料理であるかもしれないし、建築の意匠であるかもしれない。
 その多くは、ささやかで、自己満足にすぎないが、時折“マス”をも何十年、何百年と陶酔させ続けることがある。でもそういう創造物は、めったに出てこない。いまだにビートルズが崇拝され、ゴーギャン展が大勢の人を集め、村上春樹の小説がベストセラーになるのは、“万人を感動させられるものは、ごくわずかな人にしか創れない”ことの証明である。
 何かを創ろうと動き出すことは、そんな奇跡に一歩でも近づき始めることである。頂上にたどりつくことにこだわってもあまり意味はない。創ること自体がゴールと言えるからである。

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